前田 | 水産業振興基本計画の進捗状況と県民所得アップへの取組について。
平成23~27年度を終期とする「長崎県水産業振興基本計画」の基本目標に実績未達成のものが数多くある。
数値目標の基準年である平成20年、21年の基準値よりも実績が減少している項目は平成27年度の数値目標達成はほど遠いと思われ計画の見直しを昨年の農水経済委員会で提案してきた。
当時の答弁は「まだ2年目。もう1年様子を見、その結果においては見直しも検討する」との趣旨。
あれから1年。計画も中間年度。再度お尋ねするが計画の見直しは必要ないのか、特に海面漁業生産量、漁業就業者1人当たりの生産額並びに水産加工出荷額の基準値よりも低くなっている実績値は、知事が掲げる県民所得アップの取り組みともリンクし整合性を問われる。この現況を踏まえ県民所得アップに対する取り組みもあわせてお尋ねする。
次に高付加価値への取り組みについて。
長崎魚市場行動衛生課計画についてお尋ね。
その計画の概要と計画決定に至るまでにどのような手順、どういう方々で協議を重ね計画決定に至ったかそのプロセスについてお尋ね。
平成32年完成を目指す中、魚市本体の水揚げの減少や魚価が好転しない現状で生産者や仲卸ほか関係者から既計画外の要望等が聞こえ、私も相談を受けている。
そのような声が行政当局にも届いているか。仮にお聞きであれば県としての認識とこれからの取組は。
次に漁港関連施設、長崎漁港がんばランド問題をお尋ね。
ご承知のとおり所管の委員会と「県議会・県政改革特別委員会」でも改善に向け協議を継続中。
問題の生活用品、一般食品の売り場面積について、当初の第2期工事申請の際に委員会の審査で「利用者の福利厚生の一環」との答弁。その後の10%という面積については認識の違いがあったということでここまで長期にわたり解決していない。端的にお尋ねする。
県は、申請時とその後の計画を見る中で、認識の違いであったのか作為的であったのか、どういう認識に立っておられるか。
なぜ解決に時間が掛かりこじれているのか行政としての反省があればご答弁を。答弁後に再質問を行う。 |
前田 | (続き)
水産業性の最後の質問は水産物の販売促進について。
本県もアンテナショップを東京に設置すべしという意見を私は持っている。現況、築地市場で県魚連が直売所を設け本県水産物を売り込んでいるが毎年赤字計上。2年後の築地市場の移転に伴い直売所も移転し継続運営するかは白紙の状態と聞いている。
魚連の直売所は県に代わり本県水産物を売り込んでいる。もっと踏み込んだ支援があってもいいのではないか。見解は。
さらに昨年の「本県のねり製品はどこと比較しても引けを取らず美味。長崎市にはかんぼこ王国という事業もある。県内のねり製品を一堂に集め販売するかまぼこ会館のようなものがあってよくないか」との質疑に対し検討してみるとのことであった。その検討状況は。 |
水産部長 | 水産行政について、水産業振興基本計画の進捗状況と県民所得アップの取り組みの中で、平成27年の達成項目に見直しが必要ではないかとのお尋ね。
水産業振興基本計画では平成20年度または21年度を基準とし、平成27年の目標値を設定している。なお進捗管理のため年ごとの数値を設定している。
直近の平成24年については漁場形成や資源量の変動などから、海面漁業生産量が25万トンと、基準年の数値である30万トンを下回り未達成。
本計画の目標値は、現状、将来予測、施策の効果を加味して設定したもの。現在未達成の指標があるが、施策の見直しや不足する施策を追加して対応している。目標値は下方修正せず、引き続き平成27年の目標達成に向け努力する。
漁業就業者1人当たりの生産額は目標未達成で基準値を下回っている。主な原因は海面漁業生産量の減少や魚価の低迷等と考えている。
所得向上を図る取組として資源管理や漁場造成に取り組むとともに民間事業者の藻場造成技術も活用しながら漁業生産量の維持、回復を図る。
次に生産者価格の向上を図るため、販売企業との連携による消費者ニーズに即した商品の開発、さらなる地産地消の推進、東アジア地域に加え、新たな輸出国の開拓による輸出の拡大等に取り組む。
養殖業についても、クロマグロやブリ、マダイの高品質化や大型化等を進める。
長崎魚市場行動衛生化計画決定のプロセスについて。長崎魚市場行動衛生化計画は、長崎魚市場が開場から24年経過し、老朽化したこと、食の安全・安心の確保が必要となってきたことなどから国の高度衛生管理基本計画に基づき魚市場の高度衛生化を進めるもの。
施設の整備は県費の負担を軽くするため事業費の3分の2という高率の補助を受けられる国の漁港整備事業として採択いただき、陸揚げ岸壁と荷さばき所の一体的な整備を行う計画。
当計画の策定については、県、長崎市、卸売業者、仲卸業者、小売業者、運送業者などの市場関係者で組織された「施設整備検討委員会」を3回、その下部組織として現場責任者等で組織された「作業部会」で8回の競技を経て国高度衛生管理基本計画に沿って取りまとめた。 |
水産部長 | (続き)
長崎魚市場高度衛生化計画の見直した方が良いのではとのことだが、当計画は昨年度から着工し、魚市関係者から営業しながら解体、建築の工事を並行して行うため、水揚げ機器や鮮魚立替場の移設が生じることへの不安、閉鎖施設になることで従来より使い勝手に不具合が生じ、施設の維持管理コストが増加するという懸念の声もある。
しかし国の方針である「閉鎖型の荷さばき所」や「一般車両、人の入場制限」など、高度衛生の環境を保持するという基本的な考え方を見直すことは難しい。
ただし建設が平成32年度までの長期に及び、流通形態が変化する状況では細部の設計を修正することもあると考えている。
市場関係者と競技、検討しコスト削減を目指す再生可能エネルギーの活用、付加価値向上につながる高度衛生管理の取組、作業の迅速化、効率化につながる機器類の導入等の対策を講じ市場関係者の不安の解消に努める。
県漁連東京直売所は本県水産物の知名度向上と販路拡大のための重要拠点。平成18年度の開設から、冷凍庫などのハード整備に支援するとともに、長崎フェア開催、ふるさと雇用再生特別基金による職員雇用などソフト面への支援を行ってきた。今後も必要な支援を行う。
県内のねり製品を販売する常設店は、現在、長崎空港農水産物アンテナショップや長崎駅前の長崎県物産館などがある。
県内ねり製品を一堂に会し販売する常設店はない。設置について大手かまぼこ加工団体と協議した。かまぼこの賞味期限の違いによる商品管理や採算性の等の問題もあり設置は困難と伺っている。
しかし一堂に販売する取組はPR効果が望める。来年度は県内かまぼこ加工団体と連携しイベントとして実施していきたい。 |
水産部長 | (続き)
がんばランド問題そのものの原因は、占用許可に当たり県と長崎漁師村運営協議会との意思疎通が十分でなかったこと及び水産物の直売所というコンセプトが十分認識されていなかったことであると考える。
オープン後、改善に向け指導、競技してきたが販売する品物に係る県と長崎漁師村運営協議会の考え方に隔たりがあり、調整に時間を要している。
長崎漁師村運営協議会側においては、空白スペースを埋めるための長崎漁師村運営協議会内部及び関係者との調整に時間を要したと聞いている。
現在、改善策の協議を引き続き行っているが、改善後は販売する品物に係る県と長崎漁師村運営協議会との合意内容等を踏まえ、販売する商品等のチェックを行う。 |
水産部長 | がんばランドの件。作為的であったという認識に立っているか。
昨年の許可申請の段階で生活用品の売り場などについて協議し専用許可を与えたところ申請内容と大きく異なる形態でオープンしたことは極めて残念。
しかし現在、申請のとおり水産物主体の産地直売所となるよう長崎漁師村運営協議会と協議を重ねている。解決が図られるよう努める。 |
前田 | (再質問)水産業振興基本計画の見直しについて。
昨年の委員会で、数値達成できないことの指摘と見直しについての考え方については、1年間様子を見、その結果によっては見直しの検討をするという答弁。今日は下方修正という言葉は使いたくないが、修正せず目標達成に向け頑張るという答弁。
海面漁業生産量、基準年、基準値30万トンに対し、目標値は現状維持で平成27年度まで30万トン、しかし平成23年実績が27万トン。平成24年実績が25万トンと落ちている。海面漁業生産量というのは全てのことに連結する大きな指標。
漁業就業者1人当たりの生産額は平成20年基準年が587万円に対し、平成23年度が549万円。平成27年の目標は740万円と現状200万円ほどの開き。
水産加工消費額も出荷額も同様に基準年の552億円に対し、平成23年が450億円と落ち込んでいるが、目標値の平成27年度は650億円。大きな乖離が見られる。私は総合計画策定時に、この数値をどういうふうに作り上げたのかと質問したところ、関係者も集まり、当然目標の共通認識を持っているということだったが、知事が特に平成27年度の県民所得アップを掲げる中で、1次産業、当然水産業もだが、この基本数値が全て反映された目標値になっている。 |
前田 | (続き)
平成26年度予算を組む、平成27年度予算を組むという2カ年の中で、水産部長が申したような取組を重点的にやるのだろうが、それを数値で挙げられるかについて甚だ疑問。
それでもやられるということなので、知事、もう一度、これは所得アップ、県民所得向上全体に関わる問題なので、改めて数字を見直し展開を考えるべきだと思うが、知事のご所見を。
仮に目標を見直さないのなら、策定時に皆が集まり計画を立てた、数字については認識しているということに続き、では、実績値を関係者に毎年フィードバックしているかと質問したらそれはしていないと。施策や事業の検討はやるが、実績については関係者は知らないというやりとりがあった。仮にこの目標で頑張るのなら、現状も含め共通の認識を持ち、平成27年度目標達成に向け取り組まないと、県庁だけが掲げた数字、結果残念なことになれば達成できなかったということになる。その2点について知事のご所見を。 |
水産部長 | 私の所管の分なので私から答弁させていただく。
前水産部長が農水経済委員会の中で、見直すという答弁をしたとのことだが、昨年8月の農水経済委員会において県が計画したのと違う方向になることが明らかになれば見直しが必要になる旨、前水産部長が発言した。
水産部としては現在の計画の「もうかる水産業を目指して」を基本理念とする方向は今後も継続していく必要があると考えている。
既に目標達成したマグロ養殖の生産量等については上方修正を今議会に諮っているが、現時点未達成の指標については目標値を下方修正せず、引き続き平成27年の目標達成に向け努力したい。
計画に関わった委員の意見を聞くべきというご指摘のとおり、現計画の懸賞は必要。本計画の中間年である平成25年の実績が来年度から出はじめる。水産部では来年度から時期計画の策定に向け検討を開始することもあるので、計画検討委員等に対し中間年の実績を示し意見をいただく。 |
知事 | 確かに個々の数字と基準値と相当の乖離がある。担当部局の水産部として、これから足らざる施策を講じながら下方修正しないということなので、今後の取り組みに期待したい。 |
前田 | 知事も含め、それは決意だと思う。ぜひ頑張ってほしい。
農業に比べ水産業を取り巻く環境が厳しいことは認識している。行政も含め現場が大変なご苦労をしていることは、昨年委員会で色々な情報を頂いたのでよくわかる。しかし県民所得を掲げて頑張る中では、各業種目標を必達することが次につながる。水産業に対しては厳しいと指摘しておくが、これから知恵を出し合い目標に近づけるよう現場とともに歩んでいただきたいと要望する。
長崎魚市場高度衛生化について再質問。
魚市の水揚げが減っている。平成2年に22万9,000トン近く、平成24年では12万2,000トンと半分ほどに落ち込んでいる。平成32年の目標は現状維持という。それも結構だが生産者や流通業者の中には、施設整備の要望もだが、平成32年、オープンしてから先のコストに対しても大丈夫かという声が聞こえる。
色々なご相談を受ける中、現場の方々が、同時に工事をやるという全国で初めての事例であることも踏まえ、日常の工事中の業務に対し不安を抱えているのも現実。計画の内容他、タイムスケジュールも含め現場の方々と話し合う機会を持ち不安を一つ一つ解消していただき、ここをいかに活性させるかという目的は共通。労力がかかる作業だが惜しまず積み上げて欲しい。今の時点で不安の声が多々あるならしっかりご理解いただき一緒にがんばっていけるような取組をお願いする。 |
前田 | (続き)
長崎漁港がんばランドについて。当初意思疎通が出来ていなかった、コンセプトが認識されていなかった、非常に残念であると答弁された。
残念であるという意味がわからない。占用許可を与える際、意思の疎通、コンセプトが本当に認識されていなかったのか。
今回の質問に当たり、昨年度から委員会でも指摘していたので、改めて資料を全部読み返した。
はっきりわかったことは最初からこの協議会は1期工事からやっているのだから直売所が何たるかは十分わかっている。コンセプトが理解されていなかったということは、まずない。
スーパーが参入してはいけないということもはっきり出てきている。一般食料品、生活用品は限定的であるということもわかっている。
当初、先方が50%の案で生活用品、一般食料品を出したがだめだと何度もやり直しをしている。途中、スーパーの参入も認めざるを得ない、25%程度という案も出ているが、そのことも含め、やはりだめだということで、最終的に平成24年6月18日に10%の案が先方から出され、行政内で審査し、同月21日に土地占用許可を出している。3月6日オープンしたところ、面積が申請と大きく違うことが判明し改善に至った。
資料には先方からこのような発言が出ている。「60%を25%に縮小し、またそれに10%というふうに面積をかぶせられると、非常に私たちも経営が厳しいんですよ」という発言が載っている。
ということはやはり60%、当初向こうがだした10%、この免責の差はあるかもしれないが、60%を25%に縮小したのは明らかに約束を反故し60%の配置でオープンさせたのは確信的。それを残念と言うのはいかがなものか。
長い間遊休地として活用ができていなかった。規制を緩やかにしてもいいのではという議論もあっているように聞く。今後の土地についての議論なら結構だが、この案件は当初からの状況で占用許可を出しているのだから当てはまらない。
仮にそういうことであれば今度からそういう形で結構。
広く開放する意味では公募をかけるべき。色々な方々に公募しアイデアを出してもらい水産物の振興を含めたところでのベストな案のところに今後やらせるならわかるが、そういうものも当てはまらない。
諸々含め残念だということなら、行政に落ち度があったと解釈できる。その点について副知事に答弁を求める。 |
副知事 | 長崎漁港がんばランドについては漁港施設という行政財産を占用したい、目的は産地の直売所であるという申請があり、内容に沿って許可した。
一般の生活用品等の売り場について許可の際に条件を示していた。オープン後に条件と相違していたと判明し、その後指導をしているという経過。
オープンに至るまでの間、あるいは許可の時点でその点について認識を確認し、そごが内容にすべきであったというのは議員のおっしゃる反省点である。
現時点で漁港施設という行政財産を目的に添って使用するという認識を共有し、地域活性化のためにいかに活用するかについて、協議会でも県との間でも協議を進めていると県議会の所管の委員会にも報告しているとのこと。
今後この解決に向け、水産部と協議会でしっかり協議していかなければならない。 |
前田 | この問題について、水産部長だけでも3代関わった。副知事の答弁もいただいたので、年内までに結論を出していただきたい。双方にとって不幸だと感じる。この後の審査は農水経済委員会の方にお任せしたい。
県魚連の支援について、さらなる支援を求めたが水産部長の答弁としては今までの支援と変わらない形。予算等で聞いていた水産バイヤー・トレード事業等が当てはまるような話も聞いた。収支が赤字の厳しい状況の中、県の水産物を売り込んでもらっているということを理解した中で、さらなる支援ができないかについて引き続き担当の方々、現場の方々と協議しながら検討してほしい。 |