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予算総括質疑 2012.10.18

1財政運営について(1)臨時財政対策発行の認識について

前田 地方交付税は制度疲労というよりは地方にとっては大きな問題点を抱えており、国においての議論もだが地方からも言うべきことは言い、あるべき姿を取り戻していかなければいけない。あわせて同僚議員の質問で、県債の状況の確認が「臨時財政対策債を除いて」という表現で質疑が行われた。ここ数年の議会の中で、臨時財政対策債についての議論が本会議場でなされていないこと、臨時財政対策債について、知事部局の認識を確認したいという思いで質問項目に上げた。  臨時財政対策債については全額の計上を改めるべき。特殊な赤字地方債なので会計を分離すべき。これに派生し平準化、機動的な借り入れのできる別の資金調達法も積極的に検討すべきということをもう一度確認させてもらいたい。私がそのようなことを前提として質問していると頭に入れておいていただければありがたい。  県債の発行については健全化と後世に負担を残さないという取組は、これまでの中期財政見込み、行革も含め、その努力は理解している。  しかし中身を見る時に、県債については臨時財政対策債の占める割合、発行額の残高が大幅に増えている。  臨時財政対策債というものは地方自治体において発行できるという位置づけがなされている。限度額全額発行するもしないも自治体の判断。多くの県、市町村においては全額発行しているが、この際改めて限度額全額を毎年発行している県の認識を問いたい。
総務部長 臨時財政対策債は、交付税のキャッシュのかわりに地方自治体が特例的に発行できるいわば赤字地方債。  本来なら地方交付税、国からキャッシュとして配分があるべきものが、国税全体の税収の落ち込みの中で、法定等の交付率がキープできないとのことで一旦借金をし、後ほど交付税で償還する。  発行できる規定だが、本県の場合当該年度のキャッシュが足りない。そういう意味で基金を取り崩しながら当初予算を組み年度途中の財政運営でどうにかこうにか年度末に積立金を積み戻すという財政運営をしているので、フローで見た場合はおっしゃったように発行できるということで、発行しないことも考えられるがキャッシュベースで見た場合は当該年度予算を組むために発行せざるを得ないと認識している。
前田 もう少し踏み込んだ答弁をいただきたかったが、おっしゃるように臨時財政対策債は特殊というか、本来国が見るべきものをお金がないから地方自治体で賄っておいてくれよ、後で補填するからという制度になっている。  しかしその起債したものは地方自治体が固有して起債する事実があるのと、交付税でありながら地方全体の財源から返済しなければならないという側面がある。そういう意味では地方自治体が、私が今回気にしている規律が求められる。  数値を言うが、この制度は平成13年から3箇年ということで始まったがずっと延長されている。昨年度の決算までに臨時財政対策債は3,416億円発行されている。後年そこが補填される。その中で565億円国から入ってくる。県として今414億円返している。3,416億円のうち、1割強でしかない414億円しか返しきれていないということに対し、この先国が補填してくれればいいが、見込みがわからない中で本当に100%発行していいのか疑問を感じる。  さっき言った565億円、臨時財政対策債の分として国から県にお金が入っているが、長崎県が払っているのは414億円で差額151億円が返済に当てられていない。通常は返すお金の中で150億円が当てられていないと見るが、今年5月19日の日経新聞で23都道府県で国が償還用に交付したものを別目的に使用している。これはツケの先送りであり、将来地方自治体が困るという問題敵の記事があった。長崎県は150億円の差額も含め23都道府県に入っているのかいないのか。150億円の差額はどういうものに充てているのか。
総務部長 交付税での臨時財政対策債の償還費の参入だが、理論値で算入される。要は償還年限の20年、30年、それから民間資金なのか政府系資金なのかということを一定モデルを交付税の方でつくり理論参入されている。  565億円が本県に入り実際の償還が414億円、差額については残余の公債費に充当している。ご指摘の23府県の中には公債費関係以外に使ったというご指摘だろうが、そういうことは本県は行っていない。
前田 残余の公債費や基金に積み立てたりし、別のものに流用していないことはわかった。  これだけ額が大きくなると、そこに当てられるために交付されているものは純粋にそこに充てるべき。先々困る。そのことに対する所見を窺いたい。  私が結論として申し上げた、全額計上を改めるべきだというのは、計上した分だけ補填されてくるのではなく、計上を控えても限度額全部が交付されるので、発行を抑えれば節約でき、将来楽になると思う。  知事が答弁された血のにじむような努力をしなければならないこともわかるしやっていることも事実でしょう。公共事業を確保しなければならないのもわかる。長崎県は財政が厳しく余裕がない現状もわかる。しかしその上に立ってでも臨時財政対策債を少しでも計上するのを減らし、後年のためにとっておくべきではないかと思う。  他県では数は少ないが全額計上していない県がある。島根県が96.2%、岐阜県が85.4%、この2県は毎年全額計上をされていない。その以前には青森県の85.8%もある。  この臨時財政対策債は一般市場から求めるわけで、そういう意味ではこれから長崎県が進める市場債の公募にもつながる話。そういうことも含め知事の御所見があればお伺いしたい。
知事 臨時財政対策債は本来は国の責任のもと現金で交付されるべき地方交付税が、国の財政が厳しいので、後年度国の方でちゃんと面倒見るので地方でとりあえず借金していてくださいと。  実は地方財政危機と言われた昭和50年頃、財政対策債といった赤字債を発行されてきた経緯がある。ということは臨時財政対策債を発行しないということは交付税をもらわないということ。そういう余裕が本県にはない。  ご議論いただいたように理論償還と実際の償還の差額がありわかりにくい面があるかもしれないが、国と地方の約束なので満額措置される話。安心している。  我が県が発行しなかったからといって何らかの措置が講じられるかというと、全体の中で消えてしまう。他県の分で地方全体の借金の中が減り対策されないということになるので現時点でしっかり活用させていただきたい。
前田 冒頭にすれ違った立ち位置にいるという話をしたのはまさにそこで臨時財政対策債を発行するなという話はしていない。全額発行するのを少しでも抑えたらどうかと提案している。交付税そのものを否定しているものではない。誤認職と言うのは恐縮だがそういう思い。各県全部、どこも同じ。その中でも努力している県があり、市町においてはそのことも意識しながら今年度の予算立てに対しては考慮していきたいという市町村もたくさんあることをご理解いただきたい。
知事 前田委員にお詫びして訂正させていただく。  臨時財政対策債の考え方について、これを借りないということは交付税を返還するようなものだと申し上げた。失礼いたしました。  理論償還であり、指摘のような手法はあり得ると思う。ただ、財政状況が現在のような状況の中で、そうした方策がとり得るかどうか、検討を進めさせていただく。失礼しました。

(2)地域自主戦略交付金の事業実績と評価について

前田 地域自主戦略交付金が平成23年度から始まった。この制度自身を私は評価しているが、この地域自主戦略の事業実績並びに県のこの制度に対する評価をお尋ねしたい。
総務部長 地域自主戦略交付金については、地方の自由裁量を拡大するため昨年度創設され、主に公共事業等の投資的事業を中心とし、その一部が従来の個別の補助金から交付金へと振り替えられたもの。  本県における交付金の実績額は、平成23年度は道路改良事業や農業農村整備事業の一部など9事業を対象に約113億円、平成24年度は対象事業が18事業へ拡大され、本県への交付額も130億円へと増加している。  ただ、各県の予算計上学に対し7割から8割程度の配分で事業進捗の遅れを懸念している。  国へ申請する際の事業計画の策定については、国からの配分額が本県の予算計上額を下回ったことから、継続事業に支障が生じないよう留意しながら、各部局の予算計上学に応じ配分を行い、各部局で事業効果の早期発現や緊急性等を考慮の上、計画策定している。  一定、最良がきくようになったものの配分の方法等により縛りがある。本県の実情や特殊性も国に訴えながら、一層自由のきく交付金となるよう制度改正を要望していきたい。
前田 ひもつき補助金を段階的に廃止し、地域の自由裁量を拡大するための地域自主戦略交付金というこの制度の目的は非常に良い。ただし昨年全国で5,120億円というふうに7割程度しか予算がなかったという中で、この趣旨からすれば新たに縛りがない中で新しい事業に地方自治体が工夫しながら取り組んでいくというところがこの制度の目的だと思う。そういう意味では総額が少ないため7割程度しかできず、継続的な事業しかやられていないのは残念。引き続き知事会等も通じて要望してもらいたい。ただし各部局で戦略交付金が出た時に新しいアイデアをお持ちだと思う。それがつかなかったからといって先送りするのも仕方ないが、内容によっては自分たちで財源を組んででもやろうというところも含め、2年目が終わったわけだから平成25年度の総枠の予算の範囲を見る中で、どこかで決断をしながら新しい事業についても取り組んでいただきたいと要望する。

2「新しい公共」の推進実績(1)県内のNPOの現況と23年度支援実績について

前田 あまたある施策の中からこの案件を取り上げたのは行政のやることには限界がある。県民のニーズが多様化する中、進化する中で、行政だけでは限界もあり、もしかすると行政じゃないところ、民間やそういう部分で県民のニーズに応える案件はこれから増える。この新しい公共の推進、その担い手の育成は非常に重要。全部局に関連する話だと思い取り上げさせてもらった。  この公共の推進についての成果を見させていただく中、努力はしているが県の取組は不十分。今回の質疑で現況を明らかにし課題を指摘したい。  平成23年度の本県のNPO法人の認証件数、件数が伸び悩んでいるように見えるが、他県との比較でどういう状況か。また、県がNPO法人の基盤強化の事業をどのように行い、今後の方針としてどう取り組もうとしているのかご答弁を。
県民生活部長 NPO法人の認証件数は平成23年度で32件。9月30日現在のNPO法人数は434。他県との比較では、人口1万人当たりのNPO法人数は全国が3.59、本県は3.04で全国を下回っている。  NPO法人の基盤強化として行っている事業は、国の交付金を財源とした新しい公共支援事業においてNPOの活動基盤を強化するため、寄付や融資を受けやすくするための企画書作成能力や組織のマネジメント力を向上させるセミナー、講習会を行い、県民ボランティア活動支援センターを設置し、NPOの人材育成のためのリーダー研修、相談業務や情報交換会などを行っている。  この新しい公共支援事業は本年度で終了だが引き続きNPOの活動基盤を強化する必要があるため新しい支援策について現在検討している。
前田 県下で平成23年度は32件認証され、解散が19件あり434法人となっている。平成22年度は26件の認証があり20件の解散があっている。NPOとして立ち上がったがままならず解散した件数も認証数と同様に出ていることも本県の特徴。  長崎県は全国平均を下回っているが、九州全体が非常にいい数字が出ている。そこと比較するのは酷だが九州で最下位という認識をしていただく中、他県の状況、支援策を今後検討して欲しい。  要望にかえておくが、平成23年度の事業の成果報告があり、寄付文化の発展ということで「気軽に寄付できる仕組みの構築を図られた」、「NPO等の情報開示により活動への多くの賛同者、支援者を得ることが可能となった」、融資利用の円滑化ということで「融資を資金調達手段の一つとして認識するようになった」という成果報告が上がっているが、それぞれどれくらい寄付が増えたのか、どれくらい賛同者、支援者、いわゆるNPO会員が増えたのか、融資の実績がどうなのかはアンケートをとらないとわからない、持ち合わせていないということ。成果報告を挙げるのなら裏付けとなるものをお示しいただかないと。数字を追いかけながら施策に反映させることが必要だと指摘しておく。  県下の数が伸びない中で、一義的にNPO支援は各市町がやるものだと思うが全体の数はわかった。各市町の法人数は市町によりばらつきがあると思うが、でーたがあれば市町ごとの法人数をお示しいただきたい。
県民生活部長 率で申し上げる。長崎市が全体の34%、佐世保市が16%、諫早市が13%、この3市で63%を占めている。大体、人口に比例した数になっている。
前田 担当課と話し合ってください。人口に比例したかずになっていないから質問させてもらった。  1枚ものの資料しかもらっていないが特徴として離島、五島や対馬が人口に対して多い。なぜか。高齢化社会が到来して離島部分がその先を行っている。行政だけでは手が届かないところを頑張って地域で支えようという動きがNPOの件数になっているのかとも思う。結論から言うと各区視聴のNPOを支援する窓口がないところもある。補助メニューがないところもある。設置数のばらつきがあるなら県としては各市町の組織の窓口であったり、施策の支援の内容などを調査し適正に助言をしたり、今は財政的支援を求められていないと思うが、そういう支援メニューも含め今後検討していただき、NPOの数が増えること、当然NPOが全てではないからNPO法人の認証をとらなくても地域のボランティアの方はたくさんいる。たくさんいるが、継続的、安定的に活動するためにはNPOの形にしたほうがいいというのは明らか。この数が2割、3割、次年度伸びるような目標を設定し、支援施策を組み直していただきたい。ご見解を。
県民生活部長 NPO法人の数は地域の活力をあらわす1つの指標。平成23年度から新しい公共支援事業の中でもNPOの活動内容を広く県民に周知する事業も行っている。そういうことでさらにNPO活動の理解を深め、NPOの設立の促進に努めたい。  市町とも年に1回、情報交換会をやり意見等も伺っているので必要な支援について検討したい。
前田 県独自でも協同事業についての取組がなされている。各部の方にお願いしたいのは昨年度、協同事業というかタスク・フォースですが、行政として限界があるからNPOと行政が組んでやれる事業について抽出していると思うが、全部署で13件しかあがっていない。  現況の県下の多様なニーズを見るとき、各部からNPOとか地域の方々と協働して取り組んでいこうという案件はもっとたくさんあると思う。受け手がどこかと考えると件数は上がらないかもしれないが、どういう事業が県民との協働という形に望ましいかは、もっと各部署で検討しながら担当部署にあげていただきたいと要望しておきたい。  ボランティア活動支援センターも頑張っておられる。財団法人県民ボランティア振興基金があるが、島原の噴火災害の時に全国からご寄付いただいたものを含め10億円を原資とし、果実運営で助成事業をやっている。平成18年から果実だけでは足りないということで原資も毎年1,000万円を上限として取り崩していいと制度を改正しているが、平成18年に260万円、平成19年に500万円取り崩しただけで平成20年から今年度の決算までは取り崩しがない。  せっかく制度を改正したからお金を出すことが全てではないが、やはり今、NPO団体、大きなところも小さなところもありそれぞれが求めていることを把握し支援施策を打っていただきたいと要望する。今後、一般質問でも質疑させていただきたい。

3補助金等の適正執行について(1)これまでの取り組みと課題

前田 平成23年度決算審査意見書概要説明書の中で補助金の執行状況等についてということで「事前着手を認める旨の規定、意思決定がないにもかかわらず、交付決定日前に事業に着手しているものが多数認められた。また、補助対象者の現地調査が実施されていないのが多数認められました」という報告がある。  内容についてまずご答弁を。
総務部長 今回の監査の結果、指摘事項、指導事項とされた主な内容と件数は、監査対象として抽出された302件のうち、交付決定前に事業に着手しているものが11件、変更承認手続きが行われていないものが4件、執行状況報告書が提出されていないものが2件、実績報告書の提出が遅延しているものが2件という状況。
前田 交付決定日前の着手件数が11件、監査件数が302件、全体で2,277件なので7分の1調査した中で11件ということだから単純な計算では成り立たないかもしれないが、かなりの数の決定日前の着手があると思われる。  各部においてもう一度チェックしてほしい。それはあってはならない。事前着手の申請もできると思うので要項等を見直し、こういう案件がゼロになるよう努めていただきたい。現地調査も毎年は課せられていないということだが補助金は公金。毎年進捗状況も含めチェックする仕組みを構築していただきたいと要望しておく。
長崎県議会議員 前田哲也事務所
前田哲也を支える会
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